老後生活をより充実させるために、今考えるべき健康とは

老後生活をより充実させるために、今考えるべき健康とは

老後を迎えるにあたり、切っても切り離せないのが「健康」。年齢を重ねるごとに、身体能力の衰えや怪我、認知症やがんといった病気への不安が積み重なってきます。「今まで大きな病気になったことがない」、「日ごろから運動をしているから自分は大丈夫」とお考えの方もいると思いますが、老いは体力だけでなく、病気への免疫力も下げてしまいます。

また、誰もが老後を健康に過ごしたいと思っている一方で、仕事が忙しくて食生活が乱れていたり、運動しようと思っていても休みの日はついだらだらと過ごしてしまいがちなもの。若い頃なら大丈夫かもしれませんが、そのような生活をしていては、歳をとった際に必ずしわ寄せがきます。

ここでは、老後を健康的に過ごすために、注意すべきこと、また病気や怪我をしないための対策について、ご紹介していきたいと思います。

老後に最も不安なことは、「身体の衰え」

そもそもどれくらいの方が健康について関心があるのでしょうか。特定非営利活動法人「老いの工学研究所」が「高齢期に心配なこと、恐れをかんじるもの」について調査したところ、65歳未満の83%、65歳以上の72%が、「身体能力の衰え」と答えており、第1位となっています。他にも、「認知症」や「大きな病気やケガ」といった、健康に関わる項目が、上位にランクインしています。

シニアが健康について老後に不安を覚えるランキング

参考URL:http://oikohken.or.jp/seminar/014.pdf

上記の調査結果から、老後における不安要素として、多くの人が健康に関する項目を挙げていることが分かります。また、病気やケガをすると、医療費が発生するため、経済的な負担やそれに伴った精神的な負担もかかってしまう恐れがあります。つまり、健康な状態を損なってしまうと、あらゆる面での負荷がかかってしまうということです。

健康な体でないと何が起こるのか

先ほどの調査結果から、多くの方が老後の健康に不安を抱いているのが分かりましたが、実際に健康でないとどんなことが起こるのでしょうか。代表的に挙げられるのは3つ、「怪我」、「生活習慣病」、「認知症」です。それぞれについて、下記で具体的に見ていきましょう。

重症化傾向のある怪我

「怪我なんて誰もがするものだから、老後だからといって特に心配する必要はないのでは?」と思われるかもしれませんが、老後の怪我は重症化しやすく、油断できないものとなっています。その理由は2つあり、1つ目の理由は、痛みなどの刺激への反応が弱くなること。老化に伴い、身体機能だけでなく皮膚細胞も衰えてしまいます。そうなると、どこかでぶつけたり切ってしまっても、気づくのが遅れてしまい、当初は軽傷だったはずものが結果的に重症化してしまう傾向があります。

もう1つの理由が、老化による自然治癒力の低下です。自然治癒力が衰えると、例えば老後に足を骨折した場合、完治するまでに時間がかかるだけでなく、治療をしている間に身体の他の部分が弱まってしまい、最後にはそのまま寝たきりになってしまった、というケースが増えています。

若い頃からの蓄積による生活習慣病

生活習慣病とは、食生活の乱れや運動不足、過度な飲酒・喫煙、ストレスのためすぎなどによって、普段の私たちの生活習慣が原因で起こる病気です。「まだ若いし大丈夫だろう」と思っていても、蓄積されたものを完全になくすことは容易ではありません。

生活習慣病と呼ばれるものは数多くありますが、その中でも、「肥満」、「糖尿病」、「高血圧」、「高脂血症」の4つは死の四十奏と呼ばれ、これら4つはお互いを発症させやすくし、心筋梗塞や脳卒中といった命に関わる疾患を引き起こす可能性を高くするため、そのように呼ばれています。

生活習慣病は若い人でも疾患してしまう可能性が高く、患ったままの老後の生活は長い闘病生活へとつながってしまうでしょう。また、薬などで症状を緩和できたとしても、不健康な生活習慣を続けていては重症化したり再発の恐れがあるため、生活習慣を根本から見直す必要があります。

年々増えつつある認知症

認知症は、老後における最も不安視されている病気の一つです。内閣府の調査によれば、その有病者数は右肩上がりに伸びており、2015年時点での65歳以上の認知症患者の数は人口の約15%(7人に1人)でしたが、2025年には人口の約20%(5人に1人の割合)になると推測されています。認知症になると、自分で判断することが難しくなるため、必然的に家族への肉体的・精神的負担がかかります。

また、認知症は生活習慣病と関連しており、運動不足や食生活の乱れなどにより発症しやすくなります。何より、認知症で1番怖いことは、有効的な治療方法が未だ確立されていないということ。お金や時間をかけても確実に直せる方法がないので、ある意味老後に最も警戒するべき病なのです。

健康であることのメリット

上記で健康でないことによるデメリットを説明しましたが、逆に健康であるとどんなメリットがあるのでしょうか。病気や怪我をしないだけではなく、他にも様々なメリットがありますので、ご紹介いたします。

健康寿命が伸び、老後を生き生きと過ごせる

「健康寿命」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?平均寿命という言葉はご存知かと思いますが、「健康寿命」とは、介助や介護をされることなく、自分自身で健康的な毎日を送ることができる期間のことを指します。2016年時点での平均寿命は、男性が80.98歳、女性は87.14歳と言われています。

そして、健康寿命はというと、ニッセイ基礎研究所の計算によれば、男性が72.14歳、女性が74.79歳と発表しています。この数字から分かることは、男性で約8年、女性で約13年もの間、介護や何かしらの補助が必要になるということです。

もちろん、この数字はあくまで平均ですので、健康であれば健康寿命が伸びますし、逆に不健康であれば短くなります。「将来、自分の子どもに負担をかけたくない…」、「老後にやりたいことがたくさんある」という方は、自分や子どものためにも、今から健康になるための行動を意識しましょう。

意外と大きい老後の医療費

健康であれば、怪我や病気を未然に防ぐことができることはお分かりだと思います。それだけではなく、老後に考えなくてはならない医療費の負担を抑えることができます。みなさんは、老後にどれくらいの医療費がかかるか知っていますか?厚生労働省の調べによると、65歳以上の年間にかかる医療費は、なんと約70万円!男性が65歳で定年し、80歳までの15年間で計算すると、約1,050万円という金額になります。男性一人分の医療費の話ですから、男性よりより長生きな女性では、さらに負担が増えるいうことです。

怪我や病気というのは、どんなに気をつけていても突発的に起こってしまうため、この費用を0にすることは不可能に近いと思います。ですが、健康であれば、ある程度は防ぐことができます。もし上記の金額の1割でも抑えることができたら、考えてみてください。100万円あれば、趣味や旅行にあてることもできますし、将来のお孫さんに何か買ってあげることもできるでしょう。このように、金銭の面で考えても、健康であることは大きなメリットなのです。

健康であるために行うべきこと

では、健康であるためにはどんなことをしたら良いのでしょうか?健康と一口にいっても、何も体のことだけを指すわけではありません。「心」と「体」のバランスがとれてこそ、真の健康と言えます。例えば、普段あまり運動をしない方にとっては、毎日ランニングをする、といったことはかえってストレスになり、「心」が健康とは言えませんので、ここでは誰でも取り組みやすい、健康になるために行うべきことを少しだけ紹介したいと思います。

長生きする秘訣は、イスに座らないこと

デスクワークの多い現代人は、どうしても椅子に座っている時間が長くなってしまいがちです。ただ、その時間を少しでも短くすることが、健康であるためのコツになるのです。NASAの研究によると、無重力の宇宙から地球に帰還した飛行士の体力や循環器機能、認知機能など様々な能力が低下していたことが判明しました。

これは無重力状態では耳の内側にある耳石というものが働かない、筋肉が刺激されないからのようです。実は、イスに座った状態を長く続けてから体を動かすと、無重力状態と同様な状況になるとNASAは説明しています。そして、筋肉に刺激がいかないということは、血管や細胞にも関連し、身体機能だけでなく、認知機能などの脳にまで影響が及ぼされるということです。

では、この耳石を働かせるためにはどうしたらいいのかというと、「30分間座ったら、一度立ち上がる」だけです。これだけで、耳石が働き、体を動かしていなくても筋肉の刺激を送ることができるのです。

他の研究では、乳児をゆりかごのように揺らしていたら筋肉量が増加したり、1日30回以上立ち上がる人は他の人に比べて寿命が長いなどの結果が発表されています。30分間に一度立ち上がること。これなら、どんなに多忙な人でもできますし、すでに老後の生活が始まっている人でも、容易に取り組むことができると思います。

腹八分で体も脳も若返る

「腹八分目で医者要らず」という故事があります。他にも、ダイエットには腹八分目までがいいなど聞いたことがあるかもしれません。これはどういうことかというと、アメリカの国立老化研究所の研究結果によれば、空腹やカロリー制限によって、「サーチュイン遺伝子」というものが活性化されます。この遺伝子は壊れた遺伝子を修復する働きがあり、長寿遺伝子や抗老化遺伝子とも呼ばれています。

遺伝子が修復されるということは、老化を防止するだけでなく、若返りの効果もあるということが発表されています。さらに、空腹感は慣れてくると少量でも満足できるようになり、過度な摂食も防ぐことができるため、健康づくりと同時にアンチエイジングもできてしまうという、一石二鳥の効果が望めます。

適度な運動で認知症予防を

やはり、老後に運動は欠かせません。ただ、ジムに通ったりする必要もありません。むしろ急激な過度の運動は、心臓や血管への負担が大きくなりますのでNGです。諸説ありますが、普段運動をしていない人は10分間のウォーキングがベストです。

運動は、身体機能の低下を防ぐことにはもちろんですが、リラックス効果もあるため、「心」の健康にも作用してくれます。さらに注目すべきは、認知予防になるということです。脳の作用する重要なホルモンの中に、脳由来神経栄養因子というものがあるのですが、このホルモンの量が多いほど、加齢による神経細胞の破壊が止まり、認知症の発症を防いでくれることが、分かっています。

そして最近の研究では、このホルモンは運動することで増やすことができることが判明しています。このように、運動することは「心」と「体」の健康の両方を向上させてくれるので、運動が好きでない人も、将来のために1日10分間のウォーキングをしてみましょう。

まとめ

今回は、老後を健康的に過ごすために、注意するべきリスクやその対処法について簡単にご説明いたしました。老後というと貯蓄などに目がいきがちですが、いくら貯蓄や時間があっても、「健康」でないと楽しい老後生活を送ることはできません。また、「健康」は瞬間的にどうこうできるものではありませんので、これを機に一度「健康」について、考え直していただけると幸いです。